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設備の維持・管理

定期検査

約1年ごとに原子炉を止めて、念入りに点検します

原子力発電所は、約1年間運転した後に発電を停止して機器を分解点検し、国の検査を受けることが義務付けられています。これを「定期検査」といいますが、定期検査は、法律などによって検査の内容などが詳細に定められています。

点検・検査の種類

【1】外観検査 分解・開放しない状態で、冷却水などの漏えいの形跡、機器・配管などのき裂・変形などの有無について目で確認
【2】分解・開放点検 ポンプ・電動機・熱交換器などを分解・開放して、点検手入れおよび消耗品の取替を実施
【3】非破壊検査 超音波探傷検査・渦流探傷検査※※などにより、設備の内外表面および内部の欠陥の有無を確認
【4】特性試験 電気設備および計測制御装置について絶縁抵抗測定・校正などを行い、特性を確認
【5】漏えい検査 点検完了後、原子炉容器・原子炉格納容器に所定の圧力をかけて漏えいの有無または漏えい率を確認
【6】機能・性能検査 点検完了後、作動試験・試運転などを行い、設備単体または系統の機能・性能を確認
【7】総合負荷性能検査 点検・試験完了後に、定格出力で発電所の運転を行い、各設備の運転状態が正常であることおよび各種数値に異常が無いことを確認
  • 超音波を用いて設備内部のひびなどの欠陥の有無を調べる方法。
  • ※※電磁石を近づけることにより発生する渦巻き状の電流を用いて、機器・配管などの表面のひびなどの大きさを調べる方法。

定期検査の工程(例)

定期検査の工程(例)

定期検査の様子

燃料

定期検査では、原子炉容器の蓋を取り外し1体ずつ全ての燃料集合体を取り出して外観検査を行います。検査後は全燃料集合体のうち1/3~1/4を新燃料と取り替え原子炉容器に装荷します。原子炉容器に装荷する燃料は一体ずつ検査を実施します。

泊発電所 燃料

新しい燃料を貯蔵庫から取り出し、間近で目視検査をしている様子。

タービン

タービンは、発電機を毎分1,500回転させるために蒸気発生器で作られた高温高圧の蒸気を高圧タービン、低圧タービンで受け回転します。タービンには蒸気の流れを調整する静翼とそれを受け回転する動翼があります。

泊発電所 タービン

取り出された低圧タービンの動翼を点検している様子。

高経年化対策

長い間運転する原子力発電所に対しては、機能や性能の低下を生じさせる経年劣化の特徴を、点検や最新知見に基づき把握した上で、通常の保全活動に加えて新たな保全策を行うなど、機能や性能を維持・回復するために必要な劣化管理を確実に実施することとしており、これを「高経年化対策」といいます。

運転初期からの経年劣化管理

原子力発電所は、経年劣化を考慮した設計や、経年劣化が発生・進展しにくい運転により、設備の安全機能に影響を及ぼすことを可能な限り予防しています。また、日々の巡視点検や、燃料交換のための定期的な原子炉の停止に合わせ設備の点検・検査を行い、経年劣化の有無や傾向を確認しています。
これらの点検や検査等の結果を踏まえ、必要な補修や取替えを行うこと(保全活動)で、設備の健全性を維持・管理しています。

(旧)高経年化技術評価制度

原子炉の運転が長期化(高経年化)すると、経年劣化に対する管理を更に充実していく必要があります。そのため、高経年化技術評価制度に基づき、運転開始後30年目、以降10年毎に、国内外の原子力施設の経年劣化によるトラブルの情報や、材料劣化に関する試験などの最新知見を踏まえ、今後の運転で経年劣化により設備の安全性が損なわれるかどうかを評価(高経年化技術評価)し、必要な対策を長期施設管理方針として保安規定に定め、確実に実施していくこととしていました。
泊発電所では、2019年6月に1号機が、2021年4月に2号機が運転開始後30年を迎えたため、高経年化技術評価を行い、その結果に基づき長期施設管理方針を策定しています。(原子炉の冷温停止状態を維持することを前提とした評価によるもの)

長期施設管理計画認可制度

原子炉等規制法の改正(2025年6月6日施行)により、高経年化技術評価制度は廃止され、原子炉の運転の期間によらず劣化を管理するための制度として、新たに「長期施設管理計画認可制度」が設けられました。当制度では、点検や従来の高経年化技術評価と同等の劣化の予測・評価の詳細な方法と結果に加え、サプライチェーン等の管理として製造中止品に対する管理方法等を新たに追加した「長期施設管理計画」が認可対象となりました。
今後は当制度に基づき、運転開始後30年を超えて運転しようとするときに、あらかじめ施設の劣化の状況を把握した上で技術評価を行い、その結果に基づき10年以内の長期施設管理計画を策定し、高経年化対策を確実に実施していきます。また、この計画の期間を超えて運転しようとするときも、その時点の知見を踏まえて再評価を行い、長期施設管理計画を更新します。
運転開始後40年を超えて運転する際には、取替え困難な設備である原子炉容器、原子炉格納容器およびコンクリート構造物について、重点的な点検(特別点検)を行います。この結果も踏まえて再評価を行い、長期施設管理計画を更新します。

核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律

長期施設管理計画

当社は、引き続き高経年化対策により泊発電所の安全性を維持していくとともに、運転開始後30年を超えて運転する際は、施設の劣化の状況を把握した上で技術評価を行い、長期施設管理計画を策定する予定です。